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日本細見紀行 

日本各地の旅日記
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リゾートバイトたちの八丈島。

3日目  2015年6月17日  御蔵島  八丈島

 5:30に食堂にいてくださいと言われていた。別棟に住んでいるらしい女将さんがどこかから現れ、車で港まで送ってもらった。集落から港までは下り坂だ。歩いていけるけれど、好意に甘えた。

 昨日の朝、御蔵島で下船する前、女子高校生たちを集めた引率者が言っていた「みなさん眠いかもしれませんが、これから迎えてくれる民宿の人にはきちんとあいさつしてください。民宿の人たちのほうがもっと眠いのです」。具体的で実践しやすい1つのことを、その直前に要求するのはよい教育方法である。その背景も説明されていた。眠いはずの女子高校生たちに引率者のコメントは届いていた。私といっしょに車に乗った4人は女将さんに丁寧にあいさつをしていた。眠かった私もしっかりあいさつをした。御蔵島の朝はみんな眠い。

 女将さんと別れ、埠頭手前にある港湾事務所の2階の受付で、竹芝桟橋で購入してあったチケットに印を押してもらった。

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 遠くに見えていたさるびあ丸が近づいてきた。船上から見た島はなかなか近づいてこないが、港から見た船はぐんぐん近づいてくるように思う。陸から甲板に渡したブリッジを渡って30人ぐらいが降りた。地元の人と旅行者は半々ぐらいだと思われたが、出迎えの車はあまり来ていなかった。島民は港から坂を登り徒歩5分から10分ぐらいの間にある自宅に向かう。つまり坂はあるものの集落は近いので、大きな荷物を抱えた人でない限りわざわざ車で出迎えることはないだろう。そうだとしたら下船者の多くは旅行者ではなかったということだ。

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 乗船したのは私1人だった。

 さるびあ丸の2等和室は八丈島をめざす乗客たちの眠りのなかにあった。早朝からざわざわしていた昨日の船内とは大ちがいだった。

 8:50頃、八丈島の底土港に着いた。下船して驚いた。埠頭にあおがしま丸が停泊していた。底土港のターミナルには東海汽船のチケット売り場と観光案内所があった。あおがしま丸が底土港に停泊している理由を観光案内所で尋ねてみた。

 かって八丈島と青ヶ島を結んでいるのは環住丸だった。船があおがしま丸に変わったのは2014年の初めらしい。それを機に出航する港は底土港に変更されたようだ。以前は、東海汽船の着く底土港から5km西にある大賀郷の八重根港まで移動しなければならなかった。2つの港の間を歩くことはできなくはないが、両港間を走るバスはなく、移動手段はタクシーしかなかった。船が底土港から出航することによって青ヶ島へのアクセスは少し改善されたことになる。

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 底土港から2分のところにあったハッチー・ジョーズ・ホステルにチェックインした。レセプションは隣のダイビングショップのなかにあった。スタッフは親切だった。2泊で5,000円、八丈島で最安値のホテルである。八丈島だから“ハッチー・ジョーズ”とはファンキーなネーミングだ。別棟の入り口がダイビング用具の置き場になっており、その奥にキッチン、シャワー、トイレ、テーブルのある部屋があった。さらにその奥に2段ベッドが4つあった。ドミトリーだ。リュックが1つ置いてあった。宿泊客は1人らしい。

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 八丈島には2つの山がある。三原山と八丈富士だ。島のかたちは2つの山をつなげたひょうたんのようだ。宿泊先を探していたとき、素泊まりの宿ひょうたんというネーミングの宿もあった。

 八丈富士に登ってみたい。底土港ターミナルの観光案内所で、八丈富士までの行き方を確認していた。多くの人はタクシーで登山口まで行くらしい。そこは山頂に近い場所である。地図に載っていた、八丈富士の麓のほうの富士登山道入口というバス停に行くバスについて尋ねた。

 底土港周辺にバス停はなかった(夏の観光シーズンだけ底土港バス停が設けられる)。底土港から15分ほど歩いたところにある護神というバス停からコミュニティバスが出ているらしい。そこから富士登山口に行くバスが1日6本ある。バスのタイムテーブルをもらった。

 護神バス停をめざして歩き始めた。途中の商店で買ったパンをその店の前に置かれている長椅子で食べながら、時間調節をした。

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 護神バス停は2ヶ所あるのでまちがえないように、というアドバイスを受けていた。小雨が降ってきた。八丈富士に登るのを止めようかなと思い始めた頃、バスがやってきた。

 バスのなかでBU・S・PA(2日間バス・温泉共通券)を買った。1,000円。2日間バスが乗り放題で、無料で3つの温泉に入ることができる。バスに乗ったのは3区間だけだ。

 富士登山道入口バス停で降りた。登山口までは徒歩で1時間25分かかると案内板に表示されていた。八丈富士をめざして歩き始めたときは、途中上がってくる車に乗せてくれるかもしれないという甘い期待があった。歩き始めて5、6分ぐらい車は1台も通らなかった。上に行けば、もっと通らないだろう。このまま小雨に濡れながら歩くのは嫌だ。バス停のある広い道路に引き返した。5分ほどでタクシーを拾うことができた。

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 昨日八丈富士のお鉢巡りで怪我をした学校の先生を病院まで送迎してきたところだ、とドライバーは言った。

 前の町長が山の木を切っちゃったからね~
 八丈島は雨が多いんですよ。屋久島ほどじゃないけれど。伊豆諸島で水には苦労しないのはこの島だけだね。

 ドライバーは話好きな人だった。私の身に着けているものが登山に適さないらしく思われたようだ。

 水は持っていますか? 
 合羽は用意していますか?

 水と傘を持ってきているが、用意していた合羽を自宅に忘れた。島人あまりは傘を差さないらしい。

 登山を舐めているわけではない。よく街歩きをするが、山にほとんど登ったことがない。記憶にあるのは、車山(長野県/頂上近くまで車で行ける)、大山(神奈川県)、高尾山(東京都)、金剛山(大阪府)、マッターホルン(スイス/途中のマッターホルンヒュートまで)くらいしかない。だから登山用の服装がよくわからない。

 タクシーは急こう配の自動車道をくねくねと走った。道路幅の広いところと狭くなっているところがあった。登山道への入り口でタクシーを降りた。1,480円。

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 その奥に山羊除けのゲートがあった。カンヌキ状の鍵をはずしゲートを抜けたあと、鍵を掛けた。1,280段の階段を登っていく。階段は草がぼうぼうで歩きにくい。階段の横には狭い幅の舗装された坂が併設されているが、階段のすべてに併設されているわけではない。

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 途中、半分まで登ったことを示す標識があり、少し先に2番目のゲートがあった。鍵を開けゲートを潜り、また鍵を閉めた。途中から霧が濃くなった。麓はよく見えなかった。

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 途中の階段で何度か休憩しながら、ようやくお鉢巡りの道にたどり着いた。登山道への入り口から1時間ほどかかった。霧はさらに濃くなり風が吹き気温は下がった。かなり寒い。雨は降ったり止んだりしていた。

 お鉢巡りは火口の周辺を周る歩道で、「時計回り」に歩いた。歩道は人1人がかろうじて通れる幅しかないので、「時計回り」の一方通行になっているのだろう。とんでもない悪路だった。えっここを歩けというのかと誰かに言いたくなるほどの道だ。草が道を塞いでいるなかを歩き続けなればならない。草の背丈は高いところで2m、短いところでも50cmぐらいある。草と草とが絡み合って道を塞いでいた。雨が降っているので、草は濡れていた。草が生い茂っているため道は見えない。見えない歩道はぬかるんで滑り安くなっている。大室山(伊豆)山頂をイメージしていたが、とんでもない(そうだ、大室山には登ったのだと思い出した)。

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 途中で、歩き続けるのは無理だと判断した。元のところまでもどり、ルールに反して、反時計回りに歩いてみた。どうせ私1人しかいないのだ。反時計回りに歩きだしたところの草の高さは7、80cmくらいだったが、やはりほとんどのところで歩道が見えず足が草に捕られてうまく歩けない。こちら側に進むのも諦めた。

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 火口方面への道の先に浅間神社があるらしい。かろうじて足元は見えたが、ぬかるんでいた。斜面の道は滑りやすくあまりに危なかった。昨日学校の先生がお鉢巡りで怪我をしたのは十分あり得る。

 結局1時間のお鉢巡りの3分の1ほどを歩いただけだった。風が強く霧のため視界は悪かった。ベンチもないので休むこともできず、早々に降りてきた。

 1,280段を下り鉢巻き道路に出た。八丈富士を一周する自動車道である。西に1.5kmほど歩いた。霧は東から西に早いスピードで流れていた。ふれあい牧場の近くまで来たとき、一瞬霧が晴れ八丈島空港が見えた。そのときANAの飛行機が着陸した。

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 ふれあい牧場は鉢巻き道路の南側にあり、下に飛行場を中心とした三根地区と大賀郷地区が見渡せた。この2つの地区が八丈島の中心である。八丈島空港の北東にある三根地区には底土港や宿泊先のハッチー・ジョーズ・ホステルがある。護神バス停もこの地区にある。大賀郷地区は八丈島空港の南西にあり、歴史民俗資料館、宇喜多秀家の墓、八丈植物公園ビジターセンター、八重根港などがある。
 
 2つの地区の南には三原山があるが、霧のため山頂は見えなかった。晴れていれば、ふれあい牧場からの風景は絶景といっていいだろう、北西の底土港の奥にある海はよく見えるのだが、おそらく海からの空気が陸に達したとき霧が発生し、三根地区や八丈島空港を蔽い、南西の八重根港まで霧が流れたときに晴れる。町は白くぼんやりとしか見えなかった。

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 私のあとに3人の若い男女がやってきたが、すぐに車で行ってしまった。

 ふれあい牧場から、富士登山道入口バス停までは歩くと50分かかるらしい。そういう表示が出ていた。ほとんどが下り坂なので歩けるだろう。

 15分ほど歩いたところで、麓から1台の車が上がってきて私の前で止まった。車は私が歩いているのと反対方向をめざしていたはずなのだが、折り返して下まで乗せてくれると言う。
 
 ドライバーは、リゾートバイトで八丈島に来ている若い女性だった。リゾートバイトの話になった。リゾートでバイトをやっている人たちを私は知っていた。

 リゾートバイトの幅は思ったより広いらしい。一般的にはホテル、旅館、レストラン、ショップでのアルバイトを指すのだろうが、この八丈島で彼女の働いているのはガールズバーだった。前はホールで働いていたらしい。初めてのリゾートバイトだと言う。八丈島にガールズバーがあることに軽く驚いたが、ガールズバーは風営法に規定された接待の要件をクリアしたことにより全国に普及した。島にあっても不思議ではない。

 どこかの島(島名を思い出せない)のスナックで働く女性のドキュメンタリー番組を観た。リゾートバイトで島のスナックにやってきた女性が、現地の素朴な男性を見つけて・・・という番組だったと思う。よくある話なんだろうけれど。

 私の泊まっているホテルの話を聞いた千葉から来た女性は言った。

 ハッチー・ジョーズ・ホステル! 名前がおもしろい
 ドミトリーって楽しそう

 彼女はこれからも八丈島とリゾートバイトを楽しめそうだ。

 八丈島空港の東のほうで降ろしてもらった。10分ほど歩いて護神バス停に着いた。途中、スーパーマーケットがあったので入ってみた。

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 護神交差点の周辺に食堂は10軒ぐらいあった。3軒ほど回ってみたが、開いている店はなかった。八丈島の食堂はランチ向けに11:00から13:00(あるいは14:00)に店を開け、一端閉店する。そのあと夜の部として17:00あるいは18:00にもう一度店を開けるというのがパターンのようだ。

 護神交差点付近に休む場所はなかった。ハッチー・ジョーズ・ホステルにもどることにした。

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 ドミトリーには誰もいなかった。チェックインしたときに置いてあったリュックはもうなかった。所有者はチェックアウトしたらしい。私のあとにチェックインした人はいなかった。このまま誰もチェックインしなければ、ドミトリーを独占できる。少しベッドで休んだ。

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 18:00過ぎ、15分ほど歩いて護神バス停周辺までやってきた。

 梁山泊という店に入った。郷土料理の店で、料理の一部は創作料理風だった。入店したあとでわかったことだが、予約が取れないこともある八丈島を代表する名店だった。

 島寿司を食べるには予約が必要らしかった。ビールを飲み、地魚刺身盛り合わせ、里芋コロッケ、岩のりおにぎりを食べた。里芋も岩のりも八丈島産である。

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 ホールスタッフとして3人の女性が働いていた。1人は結婚していた。みんなリゾートバイトで八丈島に来たらしい。自分の住む場所を探すためにやって来たと言った女性がいた。その人は八丈島に住んで5年目だった。八丈島は気に入っているらしいが、まだ迷っているようだった。

 日本の地方から若い女性が流失していることは社会問題となっている。リゾートバイトで地方に入っている人数は、地方からの若い女性の流失数を大幅に下回るものかもしれない。しかしリゾートバイトの増加は一考に値するはずだ。

 地方自治体の最大の課題は人口減少への対策だろう。彼らは住宅支援、教育支援、就業支援などを行い、他地域(都市部)から人を移住させ、定住させようと努力している。リゾートバイトはしかし、そういうこととは関係のないところで起きている人の流れだ。純粋な経済活動のなかで、就業が発生し労働が行われ給与が払われ住居が発生している。行政がやろうとしてできていないことを、民間の経済活動だけで実現させてしまっていることには注目すべきだ。あいかわらず地方自治体は何もリサーチしていないように思える。地方から若年層が流入し20代30代の人口が増えている東京都新宿区は逆の立場から、行政として異例の、未婚女性の聞き取り調査を2013年から始めた。「適当な相手にめぐり会わない」、「今は仕事に打ち込みたい」、「収入面に不安がある」などがそこから得られた結果であるが、その調査の低すぎるレベルには嘆かざるを得ない。この程度の浅い結果しか得られないのでは、調査の継続は無意味だと思えるが、リゾートバイトがやってくる地方こそ、彼女たちの動機や将来の考え方などを徹底的に調査し分析する必要がある。あるいは職と住居の両方を供給している雇う側の企業の研究をすべきである。たとえ彼女たちの第一希望がリゾートバイトでなかったとしても、地方にやってくることを選択した現実には重いものがある。それは就職や人材紹介の際の問題点であるミスマッチをとりあえずは乗り越えた結果であり、その場所が一時的な勤め先であったとしても、そのなかに封じ込められたものの解明と分析を行うべきだろう。そのあとにこそ、地方に人を向かわせる施策が出てくるかもしれない。

 旅行は八丈島だけですか
 昨日御蔵島にいました よかったですよ 行ったことはありますか
 ないんです
 明後日には青ヶ島に行きます
 ずっと島巡りをやっているのですか
 わりとときどき・・・
 私たちは、明日3人で小笠原に行くんです
 へえ~
 おがさわら丸が年に1回だけ八丈島に寄港するんです それに乗ります
 それはすごい
 港では八丈太鼓で出迎えるようです
 行ってみたい おがさわら丸が来るのは何時頃?
 18:00ぐらいかな
 
 明日は雨っぽいですね
 八丈の人は、天気予報をNHKで観るんです NHKは八丈島の天気を流してくれます 

 料理はうまかった。20:00過ぎに梁山泊を出た。明日、おがさわら丸を迎えることになっている底土港を少し歩いてみた。ハッチー・ジョーズ・ホステルにもどった。

 スタッフがやってきた。4人が泊まることになったと伝えられた。この時間になって不思議な感じがしないでもない。1日1便の船の到着は8:50、飛行機の最終便の到着は16:40で終わっている。つまりほとんどのホテルや民宿は18:00前に客の出入りが終了しているはずなのだ。夜になってのチェックインは宿泊先の変更をする場合に考えられるが、その数が多いとは思えない。

 ハッチー・ジョーズ・ホステルのベッドにはカーテンが付いている。各ベッドにはコンセントが付いており、ベッドの照明がもう少し明るければ、カプセルホテルといってもいいくらいだ。ベッドに入りカーテンを引いて眠ろうとした頃、2人が入ってきて、20分後にさらに2人が入ってきた。彼らはそれぞれ小声で話していたが、会話はすべて丁寧語で行われていた。断片的に聞こえてくる会話の内容から、友人同士ではなく八丈島で知り合ったらしいことが推測できた。どこから来たのだろう。不思議な感じの4人は無駄な話をせずにさっさとベッドに入った。

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