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日本細見紀行 

日本各地の旅日記
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山線乗って函館へ。

5日目  2014年1月10日  札幌 長万部 森 函館   

 カプセルホテルというのはやる気力を失せさせる。みんな風呂に入っているか、テレビを見ているか、ビールを飲んで何かを食べているかのどれかだ。そもそもそういう場所である。ブログを書いているやつなんていない。ニューカプセルリフレには漫画が20,000冊あった。キャプテン翼の7巻から15巻までを読む。南葛がFCバルセロナみたいなサッカーをやっていたことがよくわかった。南葛のライバルチームでバルセロナ型はなかった。作者の高橋陽一は先見の明があった。

 やることがない日の朝は遅い。今日はくつろげる日であることも手伝っている。函館に移動すればよいだけだ。迷うのは室蘭本線で行くか函館本線で行くかである。この選択に“うまい”か“おいしい”かを適応するのをやめておく。普通列車なのでどちらも時間はかかる。

 函館本線で、小樽から長万部まで通しで乗れるのは1日5本の普通列車しかない。途中の駅まで行く列車はあるが、結局あとから来る終点まで行く列車に乗り継ぐしかない。函館本線は最初の北海道旅行のときに乗って以来である。函館本線に乗って小樽に寄るという手はある。

 室蘭本線のほうが距離は長い。札幌、函館間の幹線なのだが、普通列車で行くとなると面倒くさい。快速エアポートがある南千歳までは頻発している。苫小牧までになると列車本数は減り、東室蘭になるともっと少なくなる。その先の長万部行きを探す気にもなれない。時刻表がわかりにくい。しかし内浦湾の風景は悪くない。室蘭には2回行ったことがある。室蘭の市内はあまりおもしろくはない。ただ新日鉄住金の製鉄所の眺めはいい。もっといいのは、東室蘭駅から室蘭駅に枝分かれして走る鉄道の山側の雰囲気だろう。室蘭駅の1つ手前の駅が母恋という駅だ。ここは行ってみたいレトロな駅だが、室蘭本線で行く場合、支線への寄り道になる点が面倒なのだ。

 旅人というのは、あっちはいいけど、あっちのそこは駄目だというわがままな人種である。希望が繊細であるかどうかは人に寄るが、何らかのこだわりがある。こうみえても旅人は多くの現実から細い隙間を選択しながら動いている。

 函館本線を山線という。室蘭本線は海線である。海千山千ではない。

 北海道&東日本パスの最後の1日分の旅を山線に決めた。決めた理由はなんとなくである。30数年ぶりであるからというのが1番大きい理由かもしれない。

 まずは小樽まで行く。岩見沢からやってきた快速いしかりライナーは10分遅れで札幌駅に入ってきた。もともと札幌駅での停車時間を長く取っていたらしく、2分遅れの11:32に発車した。

 札幌を出たあとの窓の外は典型的な郊外の風景だったが、銭函を過ぎたところから海が線路のそばに見えた。荒れていないが、凍てついていることがわかるような黒と青と白とが混じった色だった。海岸線は少しだけ隠れることはあったが、冬の海の風景は小樽駅まで続いた。空は真上だけ青く晴れていたが、海の上には雲があった。空と海との境界線から雲が湧き出てくるようだ。不穏な感じがしないでもない。小樽にバスで行く人は多いようだが、コンサドーレ札幌の練習場のそばを通る以外に見所はない。バスはかなり山の上を通る。この区間は鉄道のほうがいい。

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 終着小樽に着いた。車内アナウンスは「次は終着、小樽」だった。関東の都市部では普通、終点という言葉を使う「次は終点、小田原」。長野電鉄は終着駅である。「次は終着駅、長野」と告げながら、電車が地下駅に滑り込む。

 最後に小樽に来たのは2002年8月だ。改札を抜け、小樽駅前に出てみたが、乗り継ぎの時間がないのでどこにも行けない。駅左手奥に小さい店が並んでいるところがあったはずだが、そこすら行けなかった。行きたければ、早起きしろ。スターバックスでコーヒーなど飲まずに、早朝から小樽に行けということなのだろう。

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 12:20の長万部行きは2両編成だ。釧路と根室の往復、釧路から帯広、帯広から旭川、千歳から新夕張と新夕張から夕張の往復の列車はすべて1両だった。快速いしかりライナーの客に加え、7分あとの12:16に小樽に着いた快速エアポートの客が乗り込むと、長万部行き2両編成には立っている客が出始めた。人気がある路線なのだろうか。英語の車内アナウンスもある。実際に外国人は乗っている。スキー板を持ってはいないが、スキー客っぽい。沿線にはニセコがある。

 小樽を出て余市で多くの人が降りた。列車には空席ができている。その後、少しずつ人が降りて、車内は落ち着いた。各自のスペースが増え、ローカル線の気楽な旅になっていく。しかし外は荒れていた。余市を過ぎたころから空のどこにも青はない。薄い白灰色だ。

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 雪は少しずつ激しさを増してきた。列車が走ることによって雪が吹き上げられる。雪が舞う倶知安駅で12分ほど止まる。対向列車が10分ほど遅れているらしい。ここで別の車両から欧米系の外国人が降りたが、私のほうの車両にはまだ2組6人がいた。その外国人たちも比羅夫駅で降りていった。ここはスキー場でもあるのだろうか。そうでなければ雪山登山しかないが、それはないだろう。

 彼らが降りた列車のなかは急速に派手さを失った。旅人は見当たらない。地元の人たちばかりだ。途中で雲の切れ間から太陽の光が抜けてきた。雲が裏側から薄く輝いている。太陽の周りは日食のようでもある。針葉樹林の枝にまとった雪が光を放つ。

 ニセコ駅で多くの地元の人たちが降りたが、乗ってきた人も少しいた。そのなかには中国人もいた。

 昆布駅の近くには大きなホテルっぽい施設があった。蘭越駅でわりと多くの人が降りた。目名駅を出てから、列車は山を降りていく。山脈の分水嶺を越えたのかもしれない。列車が日本海側から内浦湾側に入ったということなのだろう。

 長万部駅に着いたのは15:15だった。ここが山線と海線の分岐点であり合流点だ。長万部は前から気になっていた。まず、おしゃまんべという読み方が気になった。どこか剽軽な感じがする。それだけなら倶知安、くっちゃんも似たようなものだ。函館からの列車が内浦湾に沿って走るところは海側に席を取ればかなり楽しめる。長万部はその真ん中にある。
 
 店に入り食事をしたいのだが、列車の待ち合わせは50分ぐらいしかない。駅の観光協会の前に地図とパンフレットがあった。駅横にレール&パークという表示があったので、鉄道公園でもあるのかと思ったら、列車に乗るときの車の駐車サービスに関するものだった。

 町には雪が積もっているが、大量ではない。万遍なく薄く町の表面を塗っているという感じだ。この辺の雪は細かいのでそんなふうになるのだろう。駅からまっすぐ海に向かって通りが伸びている。海の近くに、通りの名前が「3・4・6駅前通」と表示されていた。3・4・6が三四郎だとしたら、その人物にちなんで通りの名前を付けたのだろうか。もらってきた地図には通りの名前は掲載されていない。

 雪は止んでいて、真上の一角にだけ薄く青い空が見える。夕日がうっすらと空を染めようとしているが、天から送り込まれた光は海に届いてはいない。海は薄い青黒色だった。そのまま夜になるのだろう。岸は雪に覆われた白い浜が続いている。海まで届いていない光がなぜか浜の雪を薄い橙色に変えている。夜は海に、夕暮れは浜にやってきている。そこは荒涼とした風景ではない。寒く冷たい風景であるが、節度は保たれている。

 海に向かってカメラを向ける私の後ろをときおり車が通る。右は八雲、函館方面、左は室蘭、札幌方面だ。今度は海を背にして町中に入っていく。町は線路と海岸線の幅しかない。その分、線路と海岸線に沿って長く続いているようだ。八雲、函館方面側の線路と海の間を歩く。おもしろそうな家屋や建物はない。古い家屋もない。途中でRALSEマートというスーパーがあった。弁当を買おうかどうか迷ったが、駅前にかにめしの店があったので、買うのを止める。

 線路の横を走る通りが商店街だ。少しレトロな感じがしたが、あくまで少しだけである。結局、ほとんど見所を見つけることができなかった。駅から離れたところで、線路の近くにエゾカンゾウの群生する場所があるらしいが、もちろん今の季節の話ではない。少し離れたところに長万部温泉があるようだ。旅館は7軒あるらしいが、パンフレットを見る限り古びた旅館はないようだ。そこまで歩く時間もない。

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 駅前のかにめし本舗かなやに入る。かにめし弁当はなかった。一瞬で空腹感が2倍になる。この町にかにめしの店は8店あるが、他の店はかなり遠い。何も買わないで、いや何も買えないで列車に乗り込む。16:08発函館行きはすでに入線していた。車両は1両だ。

 列車は下り列車待ち合わせのため5分ほど遅れて発車した。16:47に八雲駅に着いた。この町も気にはなっていた。地名だけで気になったりするのはよくない。行きたいところが限りなく増えてしまう。

 列車は森駅に着いた。ここも気になっていた町だ。この町では30分の停車だと時刻表にはあったので身構えていた。リュックを列車に残して町に出ようと思っていた。ところが到着間際のアナウンスは「15分停車します」というものだった。列車はいつの間にか15分ほど遅れていた。改札を抜けて、駅前だけでも歩いてみる。

 駅前はこじんまりしたものだった。他の北海道の駅のように、やけに広いということはなかった。駅正面に小さいホテルがあった。線路と並行して道路が走っている。左に行けば、函館方面で、右に行けば長万部、室蘭方面だ。町は大きくないようだが、夜なのでよくわからない。ちらほら舞っている小さな粉雪がネオンで光輝きながら落ちてくる。
 
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 列車が森駅に止まっているときに、特急北斗96号が追い抜いていった。17:58、逃げるうさぎを追いかけ、亀がスタートする。うさぎが函館駅に着く頃、亀は数駅しか進んでいない。

 18:48、大沼駅着。景色のよいところを通過中なのだが、外は真っ暗だ。

 列車の乗り次ぎ旅は思った以上に疲れる。亀が函館駅に着いたのは19:24だった。栃木路を皮切りに始めた普通列車の旅を函館で終える。スペシャルサンクス、北海道&東日本パス。

 珍しくじゃらんで予約したアクアガーデンホテルは函館駅から徒歩1分、2,600円のホテルだ。前回、函館駅に来たのは2010年5月だ。青森を旅している最中、ちょっと寄ってみたくなったので津軽海峡線でやってきた。そのとき函館駅の変貌に衝撃を受けた。駅を出た瞬間の広い空間に驚いた。空がやけに広く感じた。何角形かの図形のかたちに天空が大きく切り取られたように思った。薬師寺の境内に入ったときのようにも感じた。そのがらんどうのような空間に透明な風が山から吹き降りていた。

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 列車を降りたときホームを雪が巻いていた。改札を抜け駅舎に入る。ガラスの扉の向こうに雪に包まれた夜のやわらかな函館がある。自動扉が開くと雪が舞い込む。首をすくめ函館の街に踏み込んでゆく。
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